心とビジネスを安定させる風船会計メソッド~CMMセミナーレポート~

鈴木実歩さん主宰の継続サロン「CMM」は、数百名もの女性起業家が集うコミュニティ

日本国内のみならず、海外でビジネスを展開しているメンバーも多数所属しており、皆さまのビジネスの発展とメンバー同士のつながりを深く育てることを目指しています。

また、月に2回開催されるセミナーでは、実歩さんの公開コンサルや最新ビジネス情報のシェアなど、毎回盛りだくさんの内容をお届けしているCMM。

2025年11月7日(金)10:00より開催された第160回CMMセミナーでは、会計のプロ・松本めぐみさんをゲストにお迎えし、独自の風船会計メソッドを用いた「値決め」の仕方を教えていただきました。

本記事では、その様子をレポートとしてお届けいたします。

スペシャルゲスト:松本めぐみさんのプロフィール

今回のスペシャルゲストは、数字を感覚的に理解できる風船会計メソッド考案者の松本めぐみさんです。

会計のプロとして自社を率いる傍ら、パートナーが経営する自動車部品会社の取締役も努める松本さん。

経営に携わるなかで直面した業績不振を打破するべく試行錯誤を重ねるうちに「社員全員が業績を知ることが大切」だと気づき、誰でも数字を感覚的に理解できる「風船会計メソッド」が誕生しました。

現在は金融庁や経済産業省などの行政機関をはじめ、数々の有名企業で研修を行うほか、学校教育にも力を入れるなど多方面で活躍されています。

今回の特別セミナーでは、決算書が手に取るようにわかる風船会計の考え方と、時間単価の決め方をシェアしてくださいました。

決算書を経営戦略に活かす風船会計の考え方

はじめに、決算書の一つである「損益計算書」読み解く方法を教えてくださった松本さん↓

  • ビジュアルで読み解く損益計算書
  • 企業力は「営業利益」で決まる

決算書の見方を変えることで「利益を出すための戦略」が明確になり、心が安定するそうです。

それぞれ詳しくみていきましょう。

◆ビジュアルで読み解く損益計算書

まず、数字の羅列である損益計算書を、風船を用いてビジュアル化します。風船の大きさは「売上金額」を示し、売上が大きいほど風船が膨らみます。

損益計算書を風船で表した図

この風船の中に入っているのは「おもり」と「ヘリウムガス」。おもりが表すのは材料費や外注費など、売上に応じて変わる変動費で、ヘリウムガスは事業で得た利益を表します。

本来、風船におもりは入っていませんが、風船会計では「変動費」というおもりが入っていると想定するのがポイントです。おもりが入った状態でも風船を上昇させるためには、十分なヘリウムガス(=利益)を用意しなくてはなりません。

つまり、損益計算書で着目すべきなのは、売上ではなく利益ということ。損益計算書に書かれた数字を風船に見立ててビジュアル化することで、初めて必要な経営戦略が見えてくるのです。

◆企業力は「営業利益」で決まる

続いて、企業が稼ぐ力を表す「営業利益」を可視化してみましょう。

気球を利益の分だけ膨らませる

まずは風船にチューブで気球をつないで風船内のヘリウムガス(=利益)を全て気球の方に移動させ、気球を膨らませます。

するとヘリウムガス(=利益)で気球は膨らみますが、ここには家賃や人件費などの「固定費」がかかります。

「営業利益」を表す図

固定費を差し引き、最終的に残ったヘリウムガスが営業利益、つまりその企業の「稼ぐ力」です。

しかし、営業利益を増やすために固定費を下げるのは現実的ではありません。

材料費や外注費などの「変動費」を見直すことで利益が上がれば、おのずと営業利益も上がると考えましょう。

風船会計で最適な単価を決める3ステップ

さらに今回のセミナーでは、風船会計を用いて自分のサービスの時間単価を決める方法についても教えていただきました↓

  1. 固定費・変動費を計算する
  2. 売上目標を算出する
  3. 時間単価を計算する

詳しく解説していきます。

STEP1.固定費・変動費を計算する

まず大切なのは、自分のビジネスにおける1ヶ月あたりの支出を固定費・変動費に分けて算出することです↓

  • 固定費:家賃・光熱費・携帯代・サブスクリプション代・Wi-Fi料金・社員の給与など
  • 変動費:材料費・交通費・消耗品代・交際費など

決算書では固定費と変動費は分けられていないため、自分で色分けするなどの工夫をしてみてください。

1ヶ月あたりの支出を変動費(左)と固定費(右)に分ける

最初に固定費・変動費の分別をしておけば最適な単価が決めやすくなり、業務改善の際に見直すべきポイントも見えてくるとのお話でした。

STEP2.売上目標を算出する

次に自分が1ヶ月に欲しいお小遣い(報酬)額を決め、その金額を得るために必要な売上金額の目標を計算します。

決めたお小遣いの金額は、最終的に気球内に残ったヘリウムガスとし、そこから逆算して考えていきましょう。

気球の目標サイズ=お小遣い+固定費

ここで右側の気球に注目し、気球の中にステップ1で算出した固定費を入れます。

気球全体の大きさは、お小遣いに固定費をプラスした金額で、これは「利益の目標額」を表しているとのこと。

売上の目標額=利益の目標額+変動費

今度は左側の風船に注目し、気球を目標の大きさにするための風船の大きさ(=売上の目標額)を計算します。

風船の大きさはSTEP1で計算した変動費と利益の合計。よって、欲しいお小遣いの金額を得るために必要な売上金額は、「利益の目標額+変動費」の計算式で算出できます。

STEP3.時間単価を計算する

最後に、売上金額を1ヶ月の労働時間で割り、自分のサービスにおける時間単価を計算しましょう。

このとき、睡眠時間や自分の時間をしっかり確保したうえで、仕事に費やせる時間を考えます。「決めた時間内で目標の金額を稼ぐ」という考え方が大切です。

時間単価の計算例

また、ここで算出した単価は下げないこと。このラインを保てないと目標の売上金額に届かず、結局働く時間を増やさなければならなくなるからです。

単価が決まったら、同業者の時間単価や選ばれる理由を調べ、どのように差別化できるかを考えましょう。

このとき、人生の試練を乗り越えたからこそ生まれたサービスだという強みがあれば、それが人々の共感を呼び、価格以上の価値を感じてもらえるとのお話でした。

まとめ

今回のセミナーでは、特別ゲストに松本めぐみさんをお迎えし、風船会計を用いた単価決定の方法を教えていただきました。

ビジネスという風船を上昇させるためにも、自分の努力の結晶にふさわしい価格設定ができるようになっていきたいですね。

最後に松本めぐみさん、この度は学びに満ちた貴重な講義を本当にありがとうございました!

松本めぐみさんのメディアはこちら↓
  • URLをコピーしました!