鈴木実歩さん主宰の継続サロン「CMM」は、数百名もの女性起業家が集うコミュニティ。
日本国内のみならず、海外でビジネスを展開しているメンバーも多数所属しており、皆さまのビジネスの発展とメンバー同士のつながりを深く育てることを目指しています。
また、月に2回開催されるセミナーでは、実歩さんの公開コンサルや最新ビジネス情報のシェアなど、毎回盛りだくさんの内容をお届けしているCMM。
本記事では、5月9日(金)10:00より開催された第148回CMMセミナーの様子をお届けします。
クライアントを内側から変化させるコーチング術
今回のテーマは「クライアントが“自ら動き出す”!ビジネスで使えるコーチング入門」です。

ここでいうクライアントとは、コーチングを活かしてコミュニケーションを取る相手のこと。たとえば、自分が主催するスクールや講座の受講生などを指します。
クライアントが目標達成のために自発的に行動できるようになれば、講座の成果がアップするだけでなく、お客さま満足度の向上にもつながるでしょう。
コーチングの第一歩は「相手の心理フェーズを見極めること」
大前提として、コーチング術を活かしたコミュニケーションを取るためには、人間の心理フェーズを理解する必要があるとのこと。
コーチが取るべき行動や、かけるべき言葉は相手がどのフェーズにいるかによって変わってくるからです。
人間の3つの心理フェーズ

では早速、それぞれのフェーズについて詳しくみていきましょう。
1. 自己否定

自己否定フェーズにいる方は、自分を小さく見積もったり、未来をネガティブに決めつけてしまいがちです。
自己否定フェーズにいる方の特徴
- 自分を否定・卑下する
- 未来を悲観する
- 過去を引きずる
- 他人と比較して落ち込む
自己否定フェーズにいる方のセルフトーク例
- どうせ私なんて…
- うまくいくわけがない
- 今回もきっとダメだ
- 他の人と比べて、自分はまだまだだ
自己否定フェーズにいるクライアントは、いわば後ろを向いて立ち止まっている状態。このような方に「本当は何がしたいの?」「自分は何ができると思う?」といった質問をすると、相手を追い詰めてしまいかねません。
まずは今の自分そのものを受け入れることから始めてもらうと良いでしょう。
2. 自己肯定感

自己否定から抜け出したあとは、「できるできない」で自分の価値を決めず、ミスや未完成な状態を肯定的にとらえられる自己肯定フェーズに移行します。
自己肯定フェーズにいる方の特徴
- 未来に対して前向き
- 失敗やミスに対して柔軟に対応できる
- 他人と比較しない
自己肯定フェーズにいる方のセルフトーク例
- 今はできていなくても、これからできる
- 間違えたら修正すればいい
- 誰かと比べる必要はない
自己肯定フェーズにいる方の心の奥底には「変わりたい」「挑戦したい」「私はできるはず」といった想いが秘められています。そしてコーチングは、この自己肯定フェーズにいるクライアントに対して行うのが効果的。
クライアントの小さな成功体験を見逃さず、「自分でできた!」という達成感につながるようなアプローチを重ねていきましょう。
3. 自己効力感

最後は、目標に向かって「自分は行動できる」「達成できる」と信じられる力がある自己効力フェーズです。
自己効力フェーズにいる方の特徴
- 失敗を前向きに捉えられる
- 目標を達成できると信じている
- 自分の行動に対する信頼がある
自己効力感とは、自分を信頼する力のこと。「私は存在しているだけで価値がある」と安心感を抱いている自己肯定よりさらに進化し、「私は行動すれば変化できる」「私は目標を達成できる」と確信している状態を指します。
自己効力フェーズにいる方のセルフトーク例
- 努力すれば何かしらの結果を出せる
- 失敗は成功に変えれば良い
- できないことがあっても、私はあきらめない
自己効力感が身につくと、クライアントは目標に向かってどんどん行動できるようになっていきます。
最適なアプローチを見極めるポイント2つ
クライアントを自走できる状態にするためには、相手の自己効力感をアップさせるコーチングが必要不可欠です。しかし、やみくもにコーチングを行ってもクライアントの変化は期待できません。
そこで実歩さんは、クライアントの心理状態を見極め、最適なアプローチを取るためのポイントを2つ教えてくださいました。
- カウンセリングとコーチングの違いを理解する
- クライアントの口癖に注目する
詳しく解説していきます。
◆カウンセリングとコーチングの違いを理解する
1つ目は、カウンセリングとコーチングの違いを理解しておくこと。両者は混同されがちですが、大きく異なるのはクライアントの心理状態とゴールです。

クライアントが自己否定フェーズにいるなら、まずは自己肯定感を高めなければなりません。よって、自己理解を深め、不安やストレスを解消するカウンセリングが適していると言えます。
そしてコーチングは、クライアントに自己肯定感が備わっていてこそ効果を発揮する手法です。
相手にとって何が必要なのかを判断し、最適なアプローチを図っていきましょう。
◆クライアントの口癖に注目する
2つ目は、クライアントがよく使用している言葉を観察すること。普段から発言している言葉には、その人の「世界観」や「思い込み」が表れていることが多いからです。

ここで実歩さんは、言葉から読み取れる思い込みの例をいくつか紹介してくださいました↓
- ①「生徒一人ひとりをちゃんと見たいから、私の講座の定員は5名です」
-
→人数が増えると指導の質が落ちる
- ②「これ以上忙しくなると時間がなくなるから、売上を増やしたくない」
-
→自分の時間を使わないと売上がアップしない
- ③「私よりすごい先生がいるから…」
-
→自分はまだまだ足りない
コーチングは、上述のようなクライアントの思い込みを引き出し、相手がどのような世界を見ているのかを知ることから始まります。
そのうえで相手の世界を認め、共感し、本人が気づいてなかった可能性やチャンスを示すことができれば、クライアントの自己効力感がどんどんアップしていくでしょう。
まとめ

クライアントを自発的に行動させるためには、自己効力感をアップさせる適切なコーチングが必要であることがわかりました。
今回のセミナーは、教えることを仕事にしているサロンメンバーの皆さまにとって、すぐに実践に活かせる有益な内容だったのではないでしょうか。
ご自身のビジネスでクライアントとの関わり方に悩んだ際は、ぜひ今回の学びを参考にしてください。